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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はその晩自分でこの手紙をポストへ入れて、翌日配達の時またそれを自分で受取ったなり、Aの来るのを待ち受けた。Aが着いても彼はこの手紙をなかなか出さなかった。力めて真面目な用談についての打合せなどを大事らしくし続けて、やっと同じ食卓で晩餐の膳に向った時、突然思い出したように袂の中からそれを取り出してAに与えた。Aは表に至急親展とあるので、ちょっと箸を下に置くと、すぐ封を開いたが、少し読み下すと同時に包んである写真を抜いて裏を見るや否や、急に丸めるように懐へ入れてしまった。何か急の用でもできたのかと聞くと、いや何というばかりで、不得要領にまた箸を取ったが、どことなくそわそわした様子で、まだ段落のつかない用談をそのままに、少し失礼する腹が痛いからと云って自分の部屋に帰った。田口は下女を呼んで、今から十五分以内にAが外出するだろうから、出るときは車が待ってでもいたように、Aが何にも云わない先に彼を乗せて馳け出して、その思わく通りどこの何という家の門へおろすようにしろと云いつけた。そうして自分はAより早く同じ家へ行って、主婦を呼ぶや否や、今おれの宿の提灯を点けた車に乗って、これこれの男が来るから、来たらすぐ綺麗な座敷へ通して、叮嚀に取扱って、向うで何にも云わない先に、御連様はとうから御待兼でございますと云ったなり