Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
あなたは自分のようなまた他人のような、長いようなまた短かいような、出るようなまた這入るようなものを待っていらっしゃるから、今度事件が起ったら、第一にそれを忘れないようになさい。そうすれば旨く行きます」
敬太郎は煙に巻かれざるを得なかった。いくら大きな形が陰陽の理で現われたにしたところで、これじゃ方角さえ立たない霧のようなものだから、たとい嘘でも本当でも、もう少し切りつめた応用の利くところを是非云わせようと思って、二三押問答をして見たが、いっこう埒が明かなかった。敬太郎はとうとうこの禅坊主の寝言に似たものを、手拭に包んだ懐炉のごとく懐中させられて表へ出た。おまけに出がけに七色唐辛子を二袋買って袂へ入れた。
翌日彼は朝飯の膳に向って、煙の出る味噌汁椀の蓋を取ったとき、たちまち昨日の唐辛子を思い出して、袂から例の袋を取り出した。それを十二分に汁の上に振りかけて、ひりひりするのを我慢しながら食事を済ましたが、婆さんの云わゆる「陰陽の理によって現われた大きな形」と頭の中に呼び起して見ると、まだ漠然と瓦斯のごとく残っていた。しかし手のつけようのない謎に気を揉むほど熱心な占ない信者でもないので、彼はどうにかそれを解釈して見たいと焦心る苦悶を知らなかった。