Japanische Klassiker mit Furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme
尼の遺産――といったところで、もちろん目ぼしいものは何にもなかったが、白木の経机と、三、四冊の経文と、三、四枚の着換えとが残っていたのを、みな慶善寺に納めることになった。そのほかに古い手文庫のようなものが一つ見いだされたが、それは警察の方へ引きあげられた。文庫のなかには書き散らしの反古のようなものがいっぱいに詰めてあったが、その大部分はいろいろの地蔵さまの顔を模写したもので、問題の種になった村はずれの地蔵さまの顔は二十枚以上も巧みに模写してあったと伝えられている。昔ならばこれも狸の描いた絵などといって珍らしがられたのであろうが、警察で焼き棄てられたか、あるいはそのままに保存してあるか、そのゆくえは判らない。しかしかの尼が地蔵さまの絵姿をたくさん持っていたのから割り出して、僕の父はこういう解釈をくだしていた。
「あの尼は信仰に凝り固まって、一種のお宗旨気違いになってしまったのだ。石の地蔵さまに抱きついたとか、縋り付いたとかいうのはそのせいだ。別に不思議があるものか。」
尼は狸ではない、気違いであったかも知れない。僕は半信半疑で父の説明を聴いていた。