Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
「いいえ。」正雄は頭を掉った。
「どうしてここにいることが解ったの。阿母さんに聞いて来たの。」
それぎりで、二人は話すことも、想い出せないような風で立っていた。
しばらくたつと、お庄は顔や髪などを直して、出直して来た。大きい素足に後歯の下駄をはいて、意気がったような長い縞の前垂を蹴るようにして蓮葉に歩き出すと、やがて芝居や見世物のある通りへ弟を連れ出して来た。
見世物場はまだそれほど雑踏していなかった。帽子も冠らないで、ピンヘットを耳のところに挟んだような、目容のこわらしい男や、黒足袋をはいて襷がけしたような女の往来している中に、子供の手を引いた夫婦連れや、白い巾を頚に巻いた女と一緒に歩いている、金縁眼鏡の男の姿などが、ちらほら目についた。二人はその間をぶらぶらと歩いていたが、弟はどこを見せても厭なような顔ばかりしていて、張合いがなかった。お庄は見世物小屋の木戸口へ行って、帯のなかから巾着を取り出しながら、弟を呼び込もうとしたが、弟はやはり寄って来なかった。
「何か食べる方がいいの。」お庄は橋の手摺りに倚りかかって、あっちを向いている弟の傍へ寄り添いながら訊いたが、弟はやはり厭がった。