Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
二十
二十
こっちの仲働きが向島のと入れ替った。そのころからお庄の心もいくらか自由になった。向島の方のお鳥という女が、何か落ち度があって暇を出されるところを、慈悲のある内儀さんが、入れ替らせて本宅で使うことにした。
「お前がしばらく行って、あすこを取り締っておくんなさいよ。お絹には若いものはとても使いきれないから。」
こっちの仲働きは内儀さんからこう言い渡されたとき、奥から下って来ると厭な顔をして、黙って火鉢の傍で莨ばかり喫していた。顔に蕎麦滓の多い女で、一度は亭主を持ったこともあるという話であった。腹には苦労もありそうで、絶えず奥へ気を配り、うっかりしているようなことはなかった。
お庄は目見えの時、内儀さんからこの女の手に渡されて、二、三日いろいろのことを教わった。お茶の運び工合から蒲団の直しよう、煙草盆の火の埋け方、取次ぎのしかた、光沢拭巾のかけ方などを、少しシャがれたような声で舌速に言って聴かせた。お庄が笑い出すと、女はマジマジその顔を瞶めて、「いやだよ、お前さんは、真面目に聞かないから。」と、煙管をポンと敲いた。お庄はこの「お前さん」などと言われるのが初めのうち強く耳に障って、どうしても素直に返辞をする気になれなかった。