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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

「その時のことは、今から想うとまったく小説のようよ。」と、女は汽車のない越後から暗い森やおそろしい河ばかりの越中路を通るとき、男に跡を尾けられたことや脅迫されたことなどを話した。

制裁の厳しい寄宿に寝泊りしていた男は、一、二度女の足を止めている宿屋へ来て、自分の事情を話して帰ったきり、幾度訪ねても逢わなかった。手紙を出しても来なかった。

三月ほど経って、兄が女を連れ戻しに行ったころには、女は金も持物もなくして、霙の降る北国の寒空に、着るものもなくて、下宿屋に下女働きをしていた。田舎へ引き戻されてからも、町に落ち着いていることも出来なかった。許婚先へ対しても、家にいるのがきまり悪かった。

「どうせ私は田舎などへ帰りゃしませんよ。嫁にだって行きゃしません。家で怒ってかまわなくなったって何でもありゃしない。金沢で下宿の厠の掃除までしたことを思や、自分一人ぐらい何をしたって食べて行かれますよ。」女は太腐れのような口を利いた。

「一人でやって行くなら、碁会所でも出したらどうだ。」叔父はこの女に時々そんな心持も洩らした。

「彼奴も変だが、小崎さんも少しひどいや。」