Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

」と新吉は店へ飛び出して、下駄を突っかけて土間へ降りると、何やらブツクサ言っていた。

店ではゴボゴボという音が聞える。しばらくすると、小僧はまた出て行った。

「ろくな酒も飲まねえ癖に文句ばっかり言ってやがる。」と独言を言って、新吉は旧の座へ帰って来た。得意先の所思を気にする様子が不安そうな目の色に見えた。

お作は番茶を淹れて、それから湿った塩煎餅を猫板の上へ出した。新吉は何やら考え込みながら、無意識にボリボリ食い始めた。お作も弱そうな歯で、ポツポツ噛っていた。三月の末で、外は大分春めいて来た。裏の納屋の蔭にある桜が、チラホラ白い葩を綻ばせて、暖かい日に柔かい光があった。外は人の往来も、どこか騒ついて聞える。新吉は何だか長閑なような心持もした。こうして坐っていると、妙に心に空虚が出来たようにも思われた。長い間の疲労が一時に出て来たせいもあろう。いくらか物を考える心の余裕がついて来たのも、一つの原因であろう。

お作は何かの話のついでに、「……花の咲く時分に、一度二人で田舎へ行きましょうか。」と言い出した。

新吉は黙ってお作の顔を見た。

「別に見るところといっちゃありゃしませんけれど、それでも田舎はよござんすよ。