Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
二十六
」お作はドギマギして来た。
二十六
「マア一口……。」と言って、初手に甘ッたるい屠蘇を飲まされた。それから黒塗りの膳が運ばれた。膳には仕出し屋から取ったらしい赤い刺身や椀や、鯔の塩焼きなどがならべてあった。
「サア、お作や、お前お酌をしてあげておくれ。あいにくお相をする者がおりませんでね……。」
お作は無器用な手容で、大きな銚子から酒を注いだ。新吉は刺身をペロペロと食って、けろりとしているかと思うと、思い出したように猪口を口へ持ってゆく。
「阿母さん、一つどうですな。」とやがて母親へ差した。
「さようでございますかね。それでは……。」と母親は似而非笑いをして、両手で猪口を受け取った。そうしてお作に少しばかり注がせて、じきに飲み干して返した。
「これも久しく東京へ出ていたせいでござりますか、大変に田舎を寂しがりまして……それに、だんだん産月も近づいて参りますと、気が鬱ぐと見えまして、もう自分で穴掘って入るようなことばかり言っておるでござります。」とそれからお作が亭主や家思いの、気立ての至って優しいものだということを説き出した。前に奉公していた邸で、ことのほか惜しまれたということ、稚い時分から、親や兄に、口答え一つしたことのない素直な性質だということも話した。