Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
「おやまたやっているよ。」
お増はそう思いながら、やっと自分が自分の匿されている家に、蚊帳のなかで独り寝ているのだということが頭脳にはっきりして来た。見ると部屋にはしらしらした朝日影がさし込んでいた。外は今日も暑い日が照りはじめているらしい。路次のなかの水道際に、ばちゃばちゃという水の音がしてバケツの鉉の響きが燥いで聞えた。
婆さんは座敷の方へ来たり、台所の方へ来たりしながら喚いていると見えて、その声が遠くなったり、近くなったりした。爺さんも合間合間に何か言っていた。爺さんと婆さんとが夜中などに喧嘩していることは、これまでにもたびたびあった。その意味はお増にも解った。蒼い顔をしている、しんねりむっつりした爺さんのところでは、よく神さんが逃げて行った。
「あの爺さんは吝だから、誰もいつきはしませんよ。」
お千代婆さんはそう言っていたが、そればかりではないらしかった。
「いいえ、あの爺さんは、きっと夜がうるさいんですよ。」
お増はお千代婆さんに話したが、お千代婆さんは妙な顔をしているきりであった。
よく眠れなかったお増は、頭脳がどろんと澱んだように重かった。