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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

夏が来ると、柿の枝などの年々なつかしい蔭を作る廂のなかで、織機に上って、物静かにかちかち梭を運んでいる陰気らしい母親の傍に、揺籃に入れられた小さい弟がおしゃぶりを舐って、姉の自分に揺られていた。夏になるとその子を負って、野川の縁にある茱萸の実などを摘んで食べていたりした自分の姿も憶い出せるのであった。

男の子は、じきに迎いに来る女中につれられて帰って行った。

「僕の父さん博士でっ。」

子供はお増の問いに答えた。

その博士が、ある大学の有名な教授であることが、おりおり門口などで口を利き合うほどに心易くなった女中の口から、お増に話された。

「旦那さまは、それでも一年に四、五回もいらっしゃるでしょうかね。」

そう言う女中は、小石川の方にある博士の邸のことについては何も知らなかった。しかし子供の母親が、逗子にある博士の別荘に召使いとして住み込んでいる時分に、ふと博士の胤を娠んだのだということや、ある権門から嫁いで来た夫人の怒りを怖れてそのことが博士以外の誰にも、絶対に秘密にされてあることだけは知られてあった。

門へ出て、時々子供を見ている、醜いその母親の束髪姿が、それ以来お増の注意を惹いた。