Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
玄関へあがって来た浅井は、どこか落着きがなかった。酒の気のある顔の疲れが、お増の一瞥にも解った。
「ちと早いじゃないか。」
浅井は火の気のまだ残っている火鉢の前に坐ると、言い出した。このごろちょいちょい逢っている女の家で、今日もそれらの人たちに取り捲かれて花などを引いて夜を更かしたのであったが、この三、四日の遊びに浸っていた神経が、興奮と倦怠とに疲れていた。お今の若々しい束髪姿が、そんな時の浅井の心に、悪醇い色にただれた目に映る、蒼いものか何ぞのように、描かれていた。
「己は少い女は嫌いだよ。」
何か言い出すお増に、始終そう言っていた浅井の頭脳に、お今のことが、時々考えられた。
三十五
猫板のうえで、お増が途中から買い込んで来た、苦い羊羹などを切って、二人は茶を飲みながら、ぼそぼそ話していたが、すぐにそこらを片着けて二階へ上って行った。
「あんなものに手を出すなんて、あの爺さんもよっぽど焼きがまわっているんですよ。」
召使いの少女が妊娠したという、根岸の隠居の噂が、生欠まじりに浅井の口から話された時、お増はそう言って眉を顰めた。夜更けて馴染みの女から俥に送られて帰って来た良人と、しばらくぶりでそうして話しているお増の心には、以前自分のところへ通って来る浅井を待ち受けた時などの、焦燥しさがあった。