Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
「今のうちにお今さんを、どこかへ出しておしまいなさい。ことによったら、当分のうちどこぞ私の親類へお預かりしてもようがすよ。」
隠居は相変らず、酒気を帯びた顔を振り立てて言ってくれたのであった。
そんなことには何の意見も挟まないお芳は、時々顔を赧らめて、お増の話に応答をしていた。
「お今さんも可哀そうですな。お婿さんが欲しいでしょうに、その金満家の子息さんと、一緒にしてあげたらどうです。」
お増は退けてしまってからの、若い女の体の成行きも考えてやらないわけに行かなかった。自分の良人のしたことを、田舎のお今の兄などに、知られるのも厭であった。単純に、二人の所業を憎んでばかりもいられないと思った。
灯影のちらちらする町や、柳の青い影が、暗い思いを抱いているお増の目の前を、電車の進行と一緒に、夢のように動いて行った。窓からは、夏の夕らしい涼しい風が吹き込んで、萎えたような皮膚がしっとり潤うようであった。
「そう先の先まで考えたって、どうなるものか。」
お増はじきにいつもの自分に返った。いつまでも、こんな厭な思いをしてばかりいられないと思った。
いつか側に引き着けて、油を搾ったときのお今の様子などが、思い返された。