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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

「私もそこまで出ましょうかしら。」

お今も、今まで二人で籠っていた部屋に、一人残されるのが不安であった。

「ねえ、いけないこと?」

お今は甘えるようにそういって、鏡の前で髪などを直していた。弄ばれた自分の感情に対する腹立たしさと恥とを、押し包んででもいるような、いじらしいその横顔を、浅井は惨酷らしい目でじっと、眺めていた。

「お別れに一度どこかへ行こうかね。」

浅井は先刻そういって、その時の興味でお今を唆ったのであったが、お今は躊躇しているらしく、紅い顔をして、うつむいていたのであった。

「どこへ行くね。」

浅井は調子づいたような女に、興のさめた顔をして訊いたが、淡いもの足りなさが、心に沁み出していた。

「どこでもいいわ、私まだ見ないところが、たくさんあるから。」

「婚礼がすんだら、方々室さんに連れて行ってもらうといい。」

「それはそうだけれど、その前に……。」

室の名を聞くと、お今は間近に迫って来ている晴れがましい婚礼が、頭脳にはっきり閃いたが、その考えはやはり確実ではなかった。いつとも知らず、乗せられて来たその縁談が、支度などに気のそわそわする、その日その日の気分に紛らされて来たことが、一層心苦しかった。