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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

足迹

一

一

お庄の一家が東京へ移住したとき、お庄はやっと十一か二であった。

まさかの時の用意に、山畑は少しばかり残して、後は家屋敷も田もすっかり売り払った。煤けた塗り箪笥や長火鉢や膳椀のようなものまで金に替えて、それをそっくり父親が縫立ての胴巻きにしまい込んだ。

「どうせこんな田舎柄は東京にゃ流行らないで、こんらも古着屋へ売っちまおう。東京でうまく取り着きさえすれア衆にいいものを買って着せるで心配はない。」

とかく愚痴っぽい母親が、奥の納戸でゴツゴツした手織縞の着物を引っ張ったり畳んだりしていると、前後の考えのない父親がこう言って主張した。これまでにもさんざん道楽をし尽して、どうかこうか五人の子供を育てあげるにさしつかえぬくらいの身代を飲み潰してしまった父親は、妻子を引き連れてどこか面白いところを見物に行くような心持でいた。

それまでに夫婦は長いあいだ、身上をしまうしまわぬで幾度となく捫着した。母親はそのたびにいろいろの場合のことを言い出して、一つ一つなくなった物を数えたてた。

「あんらも今あれアたとい東京へ行くにしたってはずかしい思いはしないに」と、ろくに手を通さない紋附や小紋のようなものを、縫い直しにやると言って、一ト背負い町へ持ち出して行かれたことなどを、くどくどと零した。