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Japanische Klassiker mit Furigana

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme

Aozora Bunko

照り降り雨

一

所詮、自分とは、ひとつ腹から出ても、名は兄弟でも、根本的に違う人間なのだ。

「もう、間違いがあってもしかたがねえ。抛っておけ」

露八は、諦めた。

そして夕方、安宿へ帰って来ると、宿の亭主と老婆が、彼の姿を見るとすぐ、

「どこへお出でたのじゃ。お客様が訪ねて来て、半日も、二階に、待ちしびれてござらっしゃるのに」

と口を揃えて、告げた。

照り降り雨

一

「いくら面の皮が厚い女とはいえ、まさか、おめえとは、思わなかった」

うす暗い安宿の四畳半に、半日も待っていたという客を見て、露八は、そう一言云ったきり、唖のように、むッつりしていた。

それ以外何もいうことはない――というように。

お蔦は、旅汚れのした櫛巻に、唐桟縞の襟つきを着て、黒繻子の帯を蓮ッ葉むすびに、畳へ片手を落として、ぺたんと横坐りにすわっている。

古壁に貼ってある芝居番附だの、懸想文だの、反物の商標などを、顔向けのできない顔のてれ隠しに、眺めているのであった。

ポンと、露八は吐月峰へ煙管の首をつよく当てる。

睨んでいる眼と、反向けている横顔とがいつまでも黙りあっていた。

階下の老婆が、渋茶を汲んできて、金米糖をすすめて、障子をしめ、のろい跫音を梯子段に消して、それから裏の方で、干衣をしまいながら息子を呼んでいる声が聞こえてからも、まだ、ややしばらくは、男女の