Japanische Klassiker mit Furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme
紅かん
一
紅かん
一
気の毒な人間たちを眼の前に見た途端に、気の毒な自分が、ふしぎに気が軽くなっている。
露八は、別人のようになって、七人とも棒を呑んだように突っ立っている端の男の肩をたたいた。
「おい、兵隊さん、そう悄気たって、しようがあるめえぜ。腹を切れったら、切るまでさ、首を斬るったら、斬られるまでさ。こういう暴れンぼの勝つ時世にゃ、腕と才覚のねえ奴は、斬られるまでが、寿命と思うのさ。はははは」
「…………」
「自分だけと思や、腹が立つだろうが、なあに、こういう俺も、お仲間だ」
「誰だ……お前は」
「稲荷町の露八って男です」
「何しに来たんだ、こんな所へ」
「だれが、好きこのんで、こんなところへ、来るものか。しょッ曳かれて、抛り込まれたんでさ」
「何をやって?」
「わからないんだ。……どうですえ、兵隊さん、おめえっちは、まだ、お旗箱とかを、仕舞い失くしたという罪が分かって死ぬんだから、よっぽど、俺から見れやあ倖せだぜ。俺なんざあ、何で捕まったのか、何が悪くて、殺されるのか、わからねえんだ」
「ふーむ」
「だが、俺あ、考えたね。一刻でも、半日でも、鬱々しちゃあ損だ。おたがい様に、死ぬなら笑って死のうじゃありませんか。