Japanische Klassiker mit Furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme
二
(旦那様へ――)
お照の遺言だった。
庄次郎は、ぐわんと良心を打撃された。とうとう、自殺たかという気がした。つねづね、死にたいような泣き顔をしていた妻だ。
さすがに、声も顫えて、
「ど、どういたしましたか、お照は? ……」
「読めばわかる。井戸へ、身を投げたのだ」
「げっ。……そ、そして一命は」
「八十三郎が、気づいて、すぐ救いあげたが、助かるまい。里方へ、黙ってもおけぬ。石川主殿は、娘を殺したのは、庄次郎じゃと、半蔵殿とこのほうへ、膝づめの懸合い」
「ああッ……」
庄次郎は、髪の毛をむしッて、慚愧の眼をつりあげた。
「どうする気か」
「貴様が、腹を切るのが嫌なら、わしが切るぞ。二つに一つ、ほかに謝罪の道はない」
鉄之丞は、対い合って、草の上に坐りこんだ。
二
「まあ、まあ、そう短慮な真似をせんでも」
と、榊原は、銖之丞を制して、
「幸い、石川主殿とは、面識もあるゆえ、拙者からも、示談の口添えいたそう。――その代りに、庄次郎へ、一札書かせ、媒人と同道して、極力、先方へ謝るにかぎる。お互いに、前途のある身だ」
矢立を出した。
「庄次郎、詫状を書け」
「何と……書きますか」