Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme
子どもは、抛り出されて、ひーッと泣く。
「ま、ま、まだ怒ってんのか、てめえは」
「あたりまえだよ」
「四日目だぜ」
「もう、この腹は、一生涯立ったきりだよ。あいそも、こそも、尽き果てたのさ」
「今に、その悪い血の道が、冷めるだろうと、俺あ、壁隣りから、おめえの顔も見ずに、怺えているんじゃないか。よそうよ、なあ、夫婦喧嘩は、犬も喰わねえ」
「よしとくれっ、触ると、承知しないからっ――」
「あれ? ……」
「女房に、これほど、云われたら、去り状以上だよ。馬鹿におしでないよ、独り者の女の家へ潜り込んで、父無し子をあやしていれやあ世話はないや」
「やいっ、何を、勘ちがいして――」
「妬いてると思うのかい。あんまり、お背負いでないよ。……ふふん……女按摩ぐらいが、おまえにゃあ、ちょうどいいんだろう。もう、私の家の雑巾なんぞは、持たないでおくれ」
耳朶を真っ紅にして、お蔦は、外へ出て行った。すぐ、隣家の格子が鳴り、がたぴしと、壁越しに、箪笥の鐶の音があらっぽく聞こえてくる。
「よし、よし、よし……。泣くない、泣くない」
露八は、怯えた子どもを抱き上げて、ぐるぐると、六畳のまわりをまわっていた。