Japanische Klassiker mit Furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme
二
「出戻りの女などに――」
つぶやいて、腹を立てた。
そのくせ、しきりと、想いだされるのが、お喜代だった。お喜代になら、毎日でも、会いたい気がしてきた。眸を、どっちへ向けてもお喜代の顔か、帯か、疋田鹿の子かが、闇のなかにちらついて見えた。
「ああ! 馬鹿馬鹿しい――」
突然、彼は、担いでいた竹刀と目録とを、欄干から谷間へ、抛り捨ててしまった。そして、何丈か下の水面で、どぼん――と白い光がちらかると、初めて、爽々したように、
「お情け免許め、十三年、俺に無駄をさせやがった。――ざまを見ろ、肥船の尻にでもついて、流れてしまえ」
二
あやしげな鯛、長芋のお椀、こぶ巻、ご馳走といっても、そんな程度だが、倹約家の土肥半蔵にしては、大散財のつもりなのである。
翌晩のことだ。
長男の庄次郎が入江道場を卒業して、免許皆伝の栄誉を担ったというので、叔父の小林鉄之丞が、
「やらにゃいかんで――」
と、云うわけから、めずらしく、親類縁者を招いての、内輪の祝宴だった。
まだ健在かと思うような老人だの、紅葉山へご奉公して四十年にもなるという椎茸たぼの叔母だの、子供の殖えた姪だの、世帯やつれした妹夫婦だの、なんだの、一家に集まって、