Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「なにさ、榊原さん」

健吉は、庄次郎の襟がみをずるずると引いて来て、

「来いっ」

梯子段を覗かせた。

二

「人斬り健吉だ」

「泥棒か、喧嘩か、捕まったのは」

「何だか知らねえが、また、斬るぜ。――あれっ、弱い奴だ、ずるずる引っ張られて行く」

誰も、手を出さない。口だけで騒いで、往来を見送っていた。

お蔦は、追いかけて、

「その人に、罪はないのだよっ。庄さんを殺すなら、私も、殺しておくれっ」

健吉は、片手で、庄次郎の襟がみを掴みながら、

「見っともない。帰れ」

「帰らない」

眼じりは紅くつり上がっていた。

裸足で駈けて来た娘がある。末の妹のお喜代だった。

「まあ、姉さんは」

わっと、泣いて、狂う姉を抱きしめた。

「家へ、お帰んなさいよ。往来じゃありませんか。姉さんっ、姉さんっ――」

「お離しっ」

「帰って下さい。見ッともないから。他人様が笑いますから」

「笑う奴は、笑え。……私は」

近所の箱丁だの、中の妹のお里だのが、走ってきて、嫌応なく、連れ去った。

庄次郎は、石みたいな拳固に襟を噛まれながら、首を竦めて、お喜代の後ろ姿を見ていた。

お喜代に、この姿をみられないのが、幸いのように思った。