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Japanische Klassiker mit Furigana

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lesen Sie 松のや露八 (まつのやろはち) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.597 Zeichen · 253 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「違う! 違う!」

庄次郎は、絶叫したが、八十三郎が激しく反抗するので、捕手たちは、仮借しなかった。

つづけさまに、川の底から飛沫が揚がった。抛られた人間と、大地へ斬りふせられた人間をのこして、後は、わっと逃げ走った。

「弟っ、怪我をしなかったか。肩の血は、斬られたのか、返り血か」

庄次郎は、夢中でたずねた。彼も我を忘れて、捕手を追うことに、手伝ってしまったのだった。

二

与力の鈴木藤吉郎は、足をとめて、鎌倉河岸を振り顧った。

「おい、小倉庵じゃないか。どこへ行く?」

「おうっ、旦那ですか」

長次は、息をきっていた。

恩をかけた土肥庄次郎に一杯喰ったという理由を、早口に話して、これから近くの呉服橋へ人数を借りにゆくところだと話すと、鈴木は、おっとりと、歩きだして、苦笑した。

「土肥のことなら、あの弟にも、ちと臭いねたが上がっている。焦心るこたあない。きっと、取ッちめてやる」

「臭い? ……はてな」

小倉庵は、鼻を利かすように、問い返した。

「臭いとは?」

「弟の、土肥八十三郎は、近頃、しきりと、ご禁制の蘭書を、耽読している。のみならず、上方あたりから、しばしば、飛脚がくる。