Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

さながら、悪鬼のさまとなりました。脇差の刃もそれをとる手も、血みどろです。

おまけに、赫々と燃え上がっている焔の色が、彼の、死にもの狂いな形相にすごみを加えていますから、その姿だけでも二十や三十の捕手を畏怖して寄せつけないには充分でした。で、ここの方は、彼を遠巻きにする霜の如き十手が、御用御用といたずらにさわぐばかりで、雲霧の就縛、いつとも果てしが見えません。

時に。

その雨と降る火の粉と人数のなかを、血眼で疾駆しているひとりの貴公子がある。

また、もしその人に怪我をさせてはと、絶えず影について火をくぐり、煙をしのいで、あとから駆け歩いているもう一人の目明していの男がある。

「釘勘ッ、なんでそちは、わしのあとにばかりついて廻る? 手分けをして、日本左衛門を探し出せ。わしは、お蝶の姿を見つける」

そのお蝶は、あのかごの中にかくされていたのだとは知らずに、こう、かんぺきの高い声で罵ッたのは、徳川万太郎です。

釘勘も、ここへ踏ん込むと共に、それは気が気でないのですが、何しろ、この自力を顧みない奔放な若殿を、ひとりで、修羅のなかへほうり出すことは、とてもあぶない気持がして、