Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

怨霊の虫

馬と人とは、そこを、北へ北へと急ぎました。かの石神の司祭者御隠家様の屋敷とかがある高麗村とは、果たしてこんな方角なのか?

久米川の夜虹、狭山の怪し火、女影の里の迷路、染屋の逃げ水など、曠野の生んだ幻影はこの地の名物でありますが、遂に、その晩の馬と人も、逃げ水の消ゆるように果てなき野末へ影を没してしまいました。

怨霊の虫

よくひらきました――切支丹屋敷の吉野桜。

ころびばてれんの今井二官の住居のわきにも、変りざきが一本ある。寛永の何年かに邪宗門の女が斬られて、根元へ血をそそいだという中門前の枝垂れ桜は、まだ蕾が固い。

――陽気のせいでもありますまいが、お蝶はこの頃どうかしてやしないか、少し、いつものお蝶とは調子がちがう。

あの出ずきのお蝶が、ここ半月ほどは外出や買物あるきもせず、あのお化粧気ちがい、着物気ちがいのようなお洒落さんが近頃は張板を持ち出すやら、押入れの隅に冬から丸め込んであった洗濯物を整理するやら、がらりと日常の日課が変って、紫の頭巾で暗の夜を出歩く時のかの女とは、まるで別人のような娘らしさ――打って変った改心ぶりがふしぎであります。

きょうも裁板と針差とを前にして、午過ぎからせッせと縫い物に他念がありません。