Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
雲霧組
と、仕澄ましている。
「染屋の道は聞いてまいったから、もう迷うようなことはない。帰ってくれ、帰ってくれ」
「おじさん、染屋の宿へ行くつもりじゃないんだろう」
「なぜじゃ」
「般若の仮面をもって逃げた女をさがしに行く気なんだ。おいらには、おじさんの腹がちゃんと分っている」
「ウーム、それを承知いたしながら、わしに尾いてまいるのか」
「おいらだッて、あの仮面を探さなければ、お嬢様のそばへ帰れない。……それに、父んの身も心配でならないんだ」
「しかし次郎、きのうも其方に訳を話したとおり、あの品は元々尾州家秘蔵の拝領仮面、たとい自分の手に返っても、其方や狛家へ戻して遣わす訳にはゆかぬのだぞ」
「それは、分っています」
「ならば、そちが来ても仕方があるまい。それよりは、わしの申したことを御隠家殿に伝えて、詫を入れた方がよかろう」
「でも、今日となっては、手ぶらでは帰れません」
「と申しても、あれは戻せぬというに」
少し鋭くいいましたが、次郎は悪びれもせず、
「はい、一緒に行って、あの仮面が返っても、自分の物でもないものをくれとはいいません。その代り、たッた一日、貸してもらいます」