Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

秋の蚊帳

「やっ」

「待てッ」

と、こッちで彼を呼びとめると同時に、盲滅法にすれちがッた高麗村の次郎も、はッと思い当ったことがあるらしく、彼等が追って来るのを待たないで、

「やい!」

と、野槍を廻して踏み止まりました。

「おや?」

向うから逆に、ヤイ! と食ッてかかって来たのにも驚きましたが、その面にかがやいている爛々たる双眸にも胆をひしがれて、思わずタジタジと二の足をふんでいると、

「やい。てめえたち三人は、今、拝島から降りて来た山岳切支丹族の仲間のやつらだろうが」

さてはこいつ、どこかで様子を聞きかじって来たな――と思いましたから、三人は同じように山刀の喉をつかんで、バラバラと次郎の前に立ちふさがりました。

「小僧、うぬも高麗村の人間だな」

「おおよ。おいらは高麗村の次郎ッてんだ」

「そして、さっきの女を助けに来たのか」

「あたりまえだ!」

「どッこい、そういう用ならここを通すことはできない。まごまごすると、おのれも鴉の餌食だぞ」

「なにを、こいつら。おいらの胆剌の味をなめたいか」

と、やおら次郎は、鋭利な刃物のすげてある牛蒡のような黒い棒を横に持って、三方に立った三人の人間を、どいつから先に突こうかと見廻しました。