Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
羅馬の使者
闇を割って、お粂の顔がそこを見ました。
捕手騒ぎに抜け穴を出て、聖天の宮にひそんでいた丹頂のお粂は、何かうなずくと金吾のそばへ寄って、ジッと、悶絶している男の顔に見入っています。
青い夕月をうけて、血の気のうせた金吾の顔は、おそろしく秀麗に見える。頬を寄せても知らずに、手を握っても知らずに、眉をひそめたままでいる男の顔は、多情な女の眼にあやしい思いをさせないでしょうか。
「妙に縁のある人だよ……」
お粂は、真間の紅葉の日に、初めて金吾を見かけた時からの思いが漸く満たされてくる気がしてニッとその側を離れて立つ。
だのに、金吾の体をそこに見捨てて、麓へ足早に馳けだしたのは妙だと思われましたが、程なくお粂に招かれた駕の灯が、女坂をブラブラ登って来るようでありました。
羅馬の使者
牡丹畑の霜除けにキクイタダキが一羽、赤い口ばしを陽に開いて啼いている。
十二月。
正徳五年のあます日もおしつまりました。
けれど、忙しない騒音が渦をまいている町中とは違い、ここは師走とも見えないのどけさで、カサリ……と真ッ黄色な枯れ葉が灌本の枝をすべる音も、時々、酔った女の耳朶のような山茶花が地にこぼれる音すらも、耳につくくらい静かな昼です。