Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

変化双六

「ふーム……」と何か笠の中で笑っているらしい。

勿論、こういうのは銭になるお客ではありません。のみならず中には、多少易経の端を読みかじッている手輩などもあって、素見のうちでも売卜者たちには苦手な部類の者と見たので、

「お通んなさい、店の邪魔になる」と、馬春堂が長い顎を横に振りました。

「そう言うなよ、馬公」

おやと思うまに、二人の虚無僧は、尺八の端で幕をめくり上げて、御免とも言わず中の空箱に腰をおろし、

「こいつは焼け過ぎる」と言いながら、先生が折角あんばいよく摺鉢の火鉢で焼いていた餅を取って、口へ持って行きそうにしましたから、用捨はならんという血相で、

「これこれ、無作法なまねをするな」と先生がムキになってその手を抑える。

二人はクスクス笑いながら、

「いいじゃねえか」

「よくはない、これはわしの弁当じゃ」

「おごってやるよ、後で」

「誰だい、其許たちは」

「まだ分らねえのか、この声でも」

そう言いながら、天蓋を仰向けにして見せたので、ひょいとのぞき込むと、片目を白い布でしばった雲霧の仁三と、ひとりは四ツ目屋の新助なので、

「あッ兄弟か」

と、先生が思わず、ばかでかい声を出す。