Japanische Klassiker mit Furigana
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まきのとみたろうじじょでん
牧野富太郎自叙伝
牧野 富太郎
Lesen Sie 牧野富太郎自叙伝 (まきのとみたろうじじょでん) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.045 Zeichen · 185 Bildschirme
ダガ、昨日まで暖飽な生活をして来た私が遽かに毎月十五円とは、これには弱った。何分足りない、足りなきゃ借金が出来る、それから段々子供が生まれだし、驚く勿れ後には遂に十三人に及んだ。そして割合に給料があがらない。サア事ダ、私の多事多難はこれがスタートして、それからが波瀾重畳、具さに辛酸を嘗めた幾十年を大学で過ごした。その間また断えず主任教授の理不尽な圧迫が学閥なき私に加えられたので、今日その当時を回想すると面白かったとは冗戯半分いえない事も無いでは無いが、しかし誠に閉口した。がそれでも上に媚びて給料の一円もあげて貰いたいと女々しく勝手口から泣き込んで歎願に及んだ事は一度も無く、そんな事は苟くも男子のする事では無いと一度も落胆はしなかった。そしてこんな勢いの不利な場合は幾らあせっても仕方が無いから、そんな時は黙ってウント勉強し潜勢力を養い、他日の風雲に備うる覚悟をするのが最も賢明であると信じ、私は何の不平も口にせずただ黙々として研究に没頭し、多くの論文を作ってみたが、この研究こそ他日端なく私の学位論文となったものである。
紆余曲折あるこんな空気の中に長くおりながら、何の学閥も無き身を以て明治二十六年就職以来今日まで実に四十七年の歳月が流れたのである。