Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

池の向うの森蔭から、絶間なく木馬館の十九世紀の楽隊が響いて来た。風の都合で、馬鹿に大きな音になったり、或時は幽かになって、露天商人の呼声に混り合って、ジンタジンタと太鼓の音ばかりが聞えたりした。うしろの空地では、書生節のヴァイオリンと、盲目乞食の浪花節とが、それぞれ黒山の聴手に囲まれて、一種異様の二重奏をやっていた。二重奏と云えば、つまるところ、公園全体が一つの大きなオルケストラに相違なかった。ジンタ楽隊、安来節の太鼓、牛屋の下足の呼声、書生節、乞食浪花節、アイスクリームの呼声、バナナ屋の怒号、風船玉の笛の音、群集の下駄のカラコロ、酔っぱらいのくだ、子供の泣声、池の鯉のはねる音、という千差万別の楽器が作る、安っぽいが、しかし少年の思い出甘いオルケストラ。

「モシ!」

突然耳元で、囁く様に、古風に呼びかける声がした。振向くとさっきの美しい青年が、立って来て、いつの間にか彼の側へ寄っていた。

愛之助はハッと当惑した。浅草ウルニングの誘いには、一度こりていたからだ。

「ナニ?」

妙なことには、彼は女みたいなアクセントで聞き返した。丁度商売女とでも話をする様に。