Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
二人で探して見たが、見当がつかなかった。三日目の朝、学校へ行くと、野崎がしょんぼり教室に坐っていた。授業が始まる前だったので、直ぐ呼び出して、近衛通の喫茶店へはいり、事情を訊いて見ると、こうだった。
赤井を人質に残して、出たものの、野崎には金策の当がなかった。三軒ある親戚も一方で借りた金を一方へ返し、そこでまた借りた金で一方へ返ししていたから、随分借金が嵩んでいた。五円返したその場で十円借りるというつもりのヤリ口も、その五円が手にはいらぬ限り不可能だった。下宿で借りるということも考えられたが、それも下宿代が二人分滞っている上に、まだいくらか現金を借りていたから、到底実行出来そうもなかった。おまけに昨夜外泊した顔をぬけぬけと出して借金も出来なかった。豹一なら持っているかも知れないと思ったが、行く前の顔はともかく、宮川町からの帰りの顔をどうして会わされようか。眼が充血し、黒い皮膚がいくらか蒼ざめて、ねっとりと脂の浮いている顔を、豹一の美しい顔の前へ出すのは恥じられた。質草もなかった。大阪まで京阪で帰って、家で貰って直ぐ引きかえして来ようかと思ったが、材木屋をしている父がこの頃糖尿病で臥込んでいることを想い出すと帰れなかった。