Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
三
豹一は自分が紀代子をたいして好いていなかったことを想い出して、僅に心を慰めた。しかし、今は紀代子の体臭などが妙に想い出されて来るのだった。
三
谷町九丁目から生玉表門筋へかけて、三・九の日「榎の夜店」の出る一帯の町と、生玉表門筋から上汐町六丁目へかけて、一・六の日「駒ヶ池の夜店」が出る一帯の町には路地裏の数がざっと七、八十あった。生玉筋から上汐町通りへ 」の字に抜けられる八十軒長屋の路地があり、また、なか七軒はさんでUの字に通ずる五十軒長屋の路地があり、入口と出口が六つあるややこしい百軒長屋もあった。二階建には四つの家族が同居していた。つまり路地裏に住む家族の方が表通りに住む家族よりも多く、貧乏人の多いごたごたした町であった。
しかし不思議に変化の少い、古手拭のように無気力な町であった。角の果物屋は何代も果物屋をしていた。看板の字は既に読めぬ位古びていた。酒屋は何十年もそこを動かなかった。風呂屋も代替りをしなかった。比較的変遷の多い筈の薬屋も動かなかった。よぼよぼ爺さんが未だに何十年か前の薬剤師の免状を店に飾っているのだった。八百屋の向いに八百屋があって、どちらも移転をしなかった。