Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

七

心配しながら、且つぶりぶり怒りながら野崎を探し廻っていたことが阿呆らしく想い出された。

「君の放浪は実に君らしい青春だよ」と赤井は辛うじて青春説を口にしたが、しかし、肚の中では、

(つまりこいつは忘れっぽい、頼り無い男なんだ)と妙に諦めていた。

だが、豹一は何か底知れぬ野崎の魅力に触れた想いで、にわかに友情が温って来た。

(俺はしょっちゅう自尊心の坐りどころを探して、苛立っているが、野崎は珈琲一杯の中に胡座をかいてしまうことが出来る。何という違いだ! つまり俺の方がずっと浅ましい存在なんだ)

そう思うようになったのは、豹一としてはかなりの進歩だった。豹一は短距離選手のゴール前の醜悪な表情を自分の生き方と比較してみた。(実に同じく醜い緊張だ!)

彼はもう首席になる決心を断念した。ところが、実のところ、彼は今のままでは進級も危いような状態だったのである。

七

校門をはいって直ぐ右手にある賢徳館という古い建物のなかで、及落決定の教授会議がひらかれた。三月の初めで、京都では未だ厳しい寒さだった。ストーヴをたいてもガランとした部屋のなかはなかなか暖まらず、誰かが小用に立つたびに、身を切るような比叡おろしがさっと部屋の中を走った。