Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
二
はじめて自尊心が満足された。豹一は恋文を見せて貰われへんやろかと、熱心に頼んだ。紀代子は即座に承知した。
「そんならあした見せたげるわね」
それで翌日の約束が出来てしまった。
二
そんな交際が三月続いた。が、二人の仲は無邪気なものだった。もし仮りに恋愛とでもいうべきものに似たものがあるとすれば、紀代子が豹一に綿々たる思いを書きつらねた手紙を手渡したぐらいなものだった。つまり、紀代子は彼女の文学趣味を喋るだけでは満足出来ず、文章にして見せたかったのである。手渡したのは、その場で読んで欲しかったからだったのと、さすがに許嫁のある身で、郵送するのははばかられたからである。豹一は紀代子と喋るだけでも相当気骨の折れる仕事だったから、手紙など書いてみようとすら思わなかった。だいいち、それが証拠品となって誰かに嗤われる種となるかも知れないと、警戒したのである。どんな場合でも、彼のそんな警戒心は去らない。
しかし、彼の自尊心は紀代子から手紙を貰ったことで、かなり満足されていた。自分に課した義務からもう解放されても良い頃だった。少くとも、紀代子への恋文を送った同級生の前では、どんな無茶なことでも言えるのだ。