Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
六
しかし、その言葉は上級生に対しては少し礼を失していた。
「生意気言うと撲るぞ!」
「撲れ!」
撲られた。撲った男がしげしげと鎰屋へ通うということをあとで知った時、豹一の眼は異様に輝いた。
間もなく豹一が鎰屋お駒と散歩しているという噂が立った。
六
豹一とお駒の散歩は、赤井に言わせると、飯事に過ぎなかった。つまり豹一は臆病なのだと、簡単に赤井は判断を下した。そんな赤井の肚がわかれば、豹一も改めてなにかの手段を取ったところかも知れぬが、それにしても豹一は余りに恋愛を知らな過ぎた。お駒の方はまだしも、私は一人娘でこの人も一人息子やわ、とこんなことを漠然と考えていた。ところが豹一は真似るべき恋愛のモデルを知らないのである。知っていれば、見栄坊の彼のことだから、そのモデルに従って颯爽と行動することは面白いと思ったかも知れない。それもしかし、彼の記憶の中に根強くはびこっている或る種の嫌悪は、彼が足を踏み外して取乱すことだけは食い止めたに違いないが。つまり彼は流行外れの男だったのである。どんな愚劣な人間でも大した情熱もなしに苦もなくやり遂げて見せることが、彼には出来なかったのだ。