Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

文字通り枕を濡らす想いで夜が明けた。そして木賃宿を出ると、また一日中野良犬のように町を歩きまわっていた。放浪者を気取っていたが、気取るまでもなく、妙に薄汚く浮浪者じみて来たと思った。相かわらず、ぞおっとする想いで赤井の顔が泛んで来た。ひょっとしたら、赤井は無銭遊興で拘引されているのと違うやろかと思うと、もうへとへとになるまで歩きまわるのが義務のようだった。おかげで、京都の町の地理を随分覚え込んだ。薄汚い路地裏で、びっくりするほど色の白い綺麗な女を見て、ああえらい良えもんを見た、これが今日一日のわいの幸福やと呟いたりした。夜が更けると、また木賃宿に帰った。その夜はぐっすり眠れた。そして夜があけると、また歩きまわっていたのである。そして、三日経ったが、金が一銭も無くなると、死にたいほどの気持になり、木賃宿を出た足でふらふらと学校へ来て、授業が始まる一時間前から、ひとりしょんぼり教室に坐っていたのだった。……

そんな詳しいことは分らなかったが、野崎が口下手に問われるまま返事した言葉から想像して、たぶんそんなことだろうと、見当がつくと赤井はもう言うべき言葉を知らなかった。