Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

H教授はくつくつとこみ上げて来るのを我慢しながら、

「赤井と野崎の点をあげてくれというわけだね?」

「はあ」

「君はどうなんだ?」

「僕は……」大丈夫だというその顔がH教授にたまらなくおかしかった。たまりかねて、下を向き、膝の上の成績を仔細に見る真似をして、

「ところが、君の方の点がわるい」わざと渋い声で言うと、

「えッ?」案の定驚いた顔をした。

「赤井は三十八点、野崎は三十七点、君は三十六点だ。君がいちばん悪い」

そう言ってやると、すごすごと帰って行ったそのことを、H教授は想い出したのである。手土産に三人の名前がはいっているのもおかしかった。H教授は三人の仲の良さにちょっと微笑ましいものを感じた。及第させるならば、三人とも及第させてやりたい、一人だけ欠けると可哀相だという気持だった。豹一が自分の点で落第しそうだったら助け舟を出して他の二人と一緒に及第させてやるか、それとも三人を落第させてやるか、どちらかだと思っていた。が、欠席日数超過で三人とも落第と決ったので、なにか満ち足りた気持がしたのである。

「毛利は出来る科目もあるが、彼は秀英塾だね」と誰かが言った。