Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

「馬鹿だなあ。僕が来たか来なかったか、八重ちゃんに訊けば分るだろう」

赤井はぷりぷりした。八重ちゃんが自分の来たことを野崎に言わなかったことで、なにか自尊心を傷つけられた気持もあった。が、実は野崎は殆んど毎日のように赤井と通いながら、八重ちゃんにその存在を認めて貰えぬほど、かすんでいたのである。

いよいよノートを拡げたが、野崎のために四時間も無駄にしたかと思うと、阿呆らしくて気乗りがしなかった。

「野崎、そう悄気るなよ」と、豹一が慰めたが、野崎は虚ろな表情で、しきりに責任感に悩まされていた。そんな野崎の気持がほかの二人にも乗り移って、結局わざわざ疏水伝いに銀閣寺の停留所附近まで出掛けて、珈琲をのんだりし、ろくに勉強も出来なかった。豹一は諦めて、先に秀英塾へ帰ってしまった。野崎と赤井は出町まで足をのばして、徹夜に備えるのだと珈琲を何杯ものんだ。下宿へ帰っても、無駄話ばかりで、なんのための徹夜かわからぬありさまだった。そのため歴史の試験は散々だった。おまけにそれに気をくさらして、あとの試験も上出来とは言えなかったのである。

だから今度の落第はかえすがえす野崎に原因していると言えば言えたのだ。