Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

社長はもう六十過ぎているから、老先は短い。してみると、遺産の転り込むのも早いことだと慾を出して、来てみると、社長は未だピンピンしてけちくさく、嫉妬深い。それは我慢出来るとしても、どうにも我慢出来ないのは、結婚したのに籍をいれてくれず、おまけに園井の薦めで跡取に十二の子を養子に貰ったことだ。その養子はこともあろうに、園井の甥で、いずれ社長が死んだ暁は遺産は全部養子のものになり、後見者の園井が自由にしてしまうに違いない。

「わてらには一文も転り込んで来えしまへんのどっせ。そらまあ、よろしおすけど、未だに市場行きの金かてわてに自由にさせてくれはらしまへんのどっせ。それに、あんた――」妻君は義眼でない方の眼をふっと細めて、「こないだ中までいてくれはった菅はんいうお人をね、わてと怪しいいうて追い出したり、そら焼餅やかはんのどっせ。わてはもういつ何時でも、暇貰おう思てまんのどす」

そんな妻君の愚痴を、手紙の文章に纒めあげるのはむずかしかった。

「もう永いこと返事を出せしまへんのどす。うちが字の商売をしていてからに、手紙一本書けへんいうわけに、いかへんどっしゃろ。