Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

(莫迦々々しい。まるで俺が、電車賃を惜しんで、府庁へ行くのをきらったのだと思っていやがる)それで、彼の決心はいよいよ固くなった。

「僕は今日限り廃めさせていただきます」わりに丁寧な声が出たので、われながら気持良かった。

「なんでや? 藪から棒に――」

巧く理由が説明出来そうにもなかったし、また、一刻もそこに居りたくなかったので、物も言わず、いきなり外へ飛び出した。戸を閉めるとき、乱暴に大きな音がした。はっとそれが気になった。二、三間歩いてから、振り向くと、軒先に「日本畳新聞」の看板が貧相に掛っているのが眼にはいった。そこが薄汚いしもた屋であることも、なんとなしに眼に痛かった。足蹴に掛けたという気持が思い掛けず、胸を重く締めつけた。まる一年半、少くとも自分の失業を救ってくれたのではないかと、力無く呟いてみた。自分が廃めたあと、社長はまた頭がふらふらするといいながら、ひとりで編輯しなければならないのだと、社長の皺だらけの薄い胸や、壊れかけたガラスペンなどが頭に泛んで来た。僅に、(しかし、社長はあの不正の手段で、五、六万円の金を溜めて来たんだ)と思うと、気が楽になり胸を張って勝山通四丁目の停留所の方へ歩いて行ったが、直ぐに気の抜けた歩き方になった。