Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
これは聴き洩さなかった。聴き洩すと、恥になる。豹一は伝票を掴んで立ち上った。
勘定を払って表へ出ると、男はしきりに洟をかみながら待っていた。蓄膿症らしい。(随分威勢のあがらぬ与太者じゃないか)豹一はその男を小馬鹿にしたくなった。男は洟をかんだあとの紙を小さく畳んで袂にいれると、鼻をクスンクスンさせながら、「随いて来い」と、言った。豹一は黙ってうなずいた。
男は御堂筋をナンバの方へ歩きだした。ぞろりと着流しの上へ総絞りの兵児帯を結んだ男の恰好はいかにもちゃちな与太者めいていたが、歩を移すたびにその結び目が尻の上で揺れるので、うしろから見て豹一はふとおかしくなった。女のような大きな尻だった。
御堂筋から南海通の方へ折れて行った。黙々として歩きながら、豹一はどうした訳か気持が些かも殺気立って来ないのに弱った。
男は振り向いた。そして、
「来くされ!」はき出すように言った。
南海通の漫才小屋の細長い路次をはいって行った。二人並んで歩けないほど狭かった。弥生座の裏手あたりまで来て、男は立ち止った。そして洟をかんだ。それが済むとねちねちした口調で言った。
「おい! お前逃げもせんと、よう随いて来たな。