Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
しかし、お君は欺せても、豹一の眼はいまいましいほど鋭い。
「えらい冷え込んで来ましたな。炭つぎまひょか」お君が言った。
「なに言うねん。もったいない。きょう日炭一俵なんぼする思てるねん」
安二郎は痔をわずらっているので、電気座蒲団を使っている。その電気代がたまったものではない。尻に焼けつく思いがするのだ。それを想えば、この上灰にしかならぬ高価い炭をうかうかと使うてなるものか。
(寒いといえば目茶苦茶に炭をつぎやがるし、暑ければ暑いで、目茶苦茶に行水しやがるし、どだいこのおなごの贅沢にも困ったもんや)
行水をするとき、お君は相変らず何度も水を浴びた。湯気の吹き出た白い体にサッと水が咆り掛って、弾み切った肢体がすくっと立つ――そのなまめかしさを安二郎はたびたびうっとりと愉しむのだったが、やはり、消費される水のことを想えば胸が痛むのだった。水ならまだしも、炭と来てはまるで紙幣を焼いているようなものだ。僅かにお君の肌のほてるような温もりが安二郎の悲しい心を慰めるのだった。寒中炬燵なしでどうにか凌げるからだった。さすがに老齢で、足はチリチリと冷えるが、それも足袋をはいて寝れば、いくらか我慢が出来る。