Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

視線がぼやけた拍子に、だしぬけに感傷的になって来た。

土門は例のいらいらした手つきで、煙草の端をちぎっていたが、ふいに言った。

「おい! そんなしんみりした顔をするなよ」豹一の顔を嬉しそうに覗きこんだ。

「雪を見てるんです」言いながら、遠いハーモニカの音をきくような気がふっとした。夏の黄昏の時間が、雪を見ている豹一の心を流れた。

「あははは……。雪を見てるというか? なるほど、東銀子に惚れたな」

やっぱり見抜かれたかと、豹一は赧くなった。しかし、土門はもともと敏感な男だったが、いまは他人の心など計るような面倒くさいことはしなかった。土門がそんなことを言ったのは、じつは次の言葉を出すためのまくらに過ぎなかった。

「惚れても駄目でっせ。いまのおれの電話をきいたか? 東銀子はもうあかん。一眼この眼で見ればわかるんだ。今日の東銀子の踊り方を見た途端に、おれは諦めたね。ああ、東銀子も失われたかとね。へ、へ、へ」土門の笑いは豹一の心をますます重くした。

「珈琲もう一杯のみましょう!」

「ああ、飲もう。よくぞ言った。人生の無常がわかるとは、良いところがある。君はいくつだ?」