Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
三
もう新聞記者には用はないのだ。佐古は舌打ちした。
「どこの新聞記者や?」そう言いながら、ボーイのもって来た名刺を見た。
東洋新報記者 毛利豹一
毛利豹一という名刺には全然記憶はなかったが、東洋新報という四字を見ると、佐古には思い出されるものがあった。今朝、佐古は多鶴子の記事を読むために、一つ残らず大阪の新聞へ眼を通した。一つだけ、全然多鶴子のことを書いていない新聞があった。それが毎週「オリンピア」の広告を出してやっている東洋新報だと知ると、その時佐古はまだ多鶴子の宣伝に情熱をもっていたから、大いに憤慨して、早速東洋新報の広告部へ電話で抗議したのだった。
その怒りが今もなお佐古の心の中に残っていた。佐古は名刺を握りしめたまま、入口の方へ駆けつけた。ボーイはあとを追うて、
「こっちの方です」
出入商人や従業員が出はいりする勝手口の方を指さした。
三
わざと閉店近くの夜十一時過ぎ、豹一はひきずるように着た長いオーバーのポケットに両手を突っ込んで、「オリンピア」の前へ現われたのだった。
ジャズバンドの音が気おくれした豹一を押しのけるようになかからきこえて来て、道頓堀のアスファルトを寒く乾かしていた。