Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
おれはあの女をものにしてみせるぞ!)
豹一の考え方はいつもこれだった。が、この時の考え方にはいくぶん嫉妬の気持もまじっていた。それだけに強かった。豹一はだしぬけに頭に泛んで来たこの考え方に従うことにした。これが、「オリンピア」へ行く口実になった。
そんな豹一の考えを知ったら、多鶴子はぞっとしたであろう。それとも、おかしいと思ったであろうか。しかし、豹一はそんな変な考えを鼻の先にぶらさげて多鶴子の前に現れたわけではなかった。
やっと口実が見つかってほっとしたというものの、しかし、多鶴子をものにせよと自分に課した義務というものは、二十歳の豹一にとっては随分重荷だった。彼はぶるぶる顫えながら、多鶴子の前に現れたのである。まるで吩咐られた通りにおやつを貰いに来た子供のように、多鶴子には見えた。だから多鶴子は随分好ましいと思い、粗末には扱わなかった。
役目柄、多鶴子はあちこちのテーブルへ挨拶に出むかなければならなかったが、その都度豹一に、
「ちょっと待っててね」と、言った。そして直ぐ戻って来て豹一の傍に坐るのだった。
そんな風にされるのは客のなかで豹一ひとりだったから、彼は随分よろこんで良いわけだった。