Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme

Aozora Bunko

水いらずの気持だった。

「ほんまにどないしてたんや。会社の仕事やったんか。字がなんぼでも書けるんやさかい、手紙ぐらい出さんいう子があるかいな」嬉しさの照れかくしに、そんな風に叱りつけていたが、やがて奥へすっこんで、「豹一が帰って来ましたぜ」安二郎に言っていた。

安二郎の呶鳴りつけるような声が、咳ばらいと一緒にきこえて来た。豹一はちょっと身がすくんだ。その拍子に多鶴子の顔がだしぬけに頭をかすめた。すると、眼の前が血の色に燃えて、安二郎の前に出た豹一の顔は今日はじめての生気を取り戻していた。呶鳴りつけるなら、勝手に呶鳴りつけろといった顔であった。

そんな顔色を見なくとも、安二郎はむろん呶鳴りつけたいところであった。しかし、安二郎はじっと我慢した。

安二郎にとっては、豹一が半月家をあけようと、一月家をあけようと、そんなことはどうでもよかった。ただ、三日前の節季に豹一がいなかったということは、はなはだ残念なことであった。貰うべき下宿代も貰えなかったのだ。それだけが癪だった。だから、顔を見るなり、呶鳴りつけたい気持だったが、しかしさすがに安二郎は慎重だった。