Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
なるほど豹一はおずおずとうぶ毛を見せた少年なのである。しかし、許嫁から度々手紙が来て、東京の学生生活などを書いた文句を見ると、豹一などとは段違いの頼もしさがあった。
二週間ほど経って、豹一を嫌いになる考えが大体纒り掛けたある日、紀代子は大軌の構内でばったり豹一に出会った。思わずあらと顔を赧くした。彼女は豹一が自分を待っていてくれたと思ったのである。
(やっぱり病気だったのやわ)この考えは一縷の希望として秘めて置いたのだった。彼女は微笑を禁じ得なかった。豹一を嫌いになる考えを咄嗟に捨ててしまった。ところが、豹一は、しまったと、半分逃げ腰だった。実は、彼は紀代子に会うのが怖くて、ずっと大軌の構内を避けていた。学校から帰り途だったが、わざと廻り道をしていた位である。ところが、今日は、うっかりと大軌の構内を通り抜けたのであった。つまり、もう紀代子のことは半分忘れ掛けていたからである。
いきなり逃げ出そうとした。その足へ途端に自尊心が蛇のようにするする頭をあげて来て、からみついた。(ここで逃げてしまっては、俺は一生恥しい想いに悩まされねばならない。名誉を回復しなければならない)豹一は辛くも思い止った。