Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lesen Sie 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.593 Zeichen · 325 Bildschirme
もともと彼女は、年齢よりも老けた気持をもっており、同級生の中でもいちばん早く結婚するのを誇りにしていたのだった。言わば、それが彼女の美貌を証拠だてるというわけである。豹一の魅力を以てしても、結婚を迎える胸騒がしい彼女の気持に打ち勝つことは出来なかった。それに、もともと豹一にはたった一つの魅力が欠けていた。つまり、「手一つ握り合わなかった清い仲」だったのである。
紀代子が結婚をするため自分と会わなくなったのだと知ると、豹一はついぞこれまで経験しなかった妙な気持になった。狂暴に空へ向って叫び上げたい衝動にかられたかと思うと、いきなり心に穴があいたようなしょんぼりした気持になったりする。まるで自分でも不思議な、情けない気持だった。彼は未だ嫉妬という言葉を知らなかった。知っていれば、もっと情けなくなったところだった。時にはうんざりした紀代子との夜歩きも、いまは他の男が「独占」しているのかと思うと、しみじみとなつかしくなるのだった。その顔も知らないのがせめてもだった。もし、行きずりにでも見たとすれば、豹一のことだから、一生記憶を去らずに悩まされたところだ。