Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
」
「文を書け、どのような文を書くのじゃ。」
「恋文でござりまする。」
「ほう、恋文……。それならばお身、自身にはなぜ書かれぬ。」
「わたくしの恋ではござりませぬ。」
兼好はなんだか腑に落ちないように、眼をしばたたきながらしばらく思案していると、女は一と膝すすめて相手に迫るように言った。
「御坊は頓阿、浄弁、慶運の人々と相列んで、和歌の四天王と当世に申し囃さるるばかりか、文書くことは大うつ童、馬追う男も御坊日本一と申しておりまする。その御坊がつい一と筆さらさらとはしらするは、なんの雑作もないことでござりましょうに、ならぬと情のう仰せられまするか。」
「ならぬとは言わぬが、お身はそもいかなる人で、その文はいかようの趣意のものか。それを聞いた上ならでは……。」
「ごもっともでござりまする。さらばわたくしの身分、文の趣意をつつまず申し上げましたら、きっとお聞き済み下されまするか。」
「そりゃまだ判らぬ。ともかくも聞いた上のことじゃ。餌を投げいで魚を釣り寄せようとしても、そりゃ無理じゃ。試しに餌を下ろして見られい。」
鼻の先きで笑っているのを、女は小面が憎いようにちょっと睨んだが、すぐに思い直したようにほほえみながら、まず自分の身の上を打ち明けた。