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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「まだ遠くは行くまい。すぐに追え。」

ゆく手を照らすように、弥兵衛がたいまつ代わりの枯枝を高くあげると、一つの礫が大きい灯取り虫のように空を飛んで来て、その火を礑と叩き落としたので、弥兵衛もぎょっとした。ほかの者どもは恐怖の叫びをあげて、一間あまりも逃げ戻った。

二

追っ手がこれほどに撃ち悩まされている間に、眇目の男は采女を自分の肩に引っかけて、片手に小坂部の手をひいて、暗い沼のほとりを足早に立ち退いた。采女の息づかいが何とも心もとないので、小坂部は暗い中で訊いた。

「采女。怪我はなかったか。」

「叱っ。」と、男は叱るように制した。

采女は答えなかった。それがいよいよ小坂部の不安を募らせたが、何分にも自分たちのうしろには追っ手を控えているので、かれはいたずらに不安の胸をかかえながら、暗闇を迷って行くよりほかはなかった。沼のほとりを行き過ぎて、小高い丘をあえぎながら登ってゆくと、ここにも黒い社のようなものが立っていた。やしろの前には池があった。ここまで来て、男は初めて立ち停まった。

「もういい。落ち着いてお休みなされ。」と、彼はしずかに言った。そうして肩にかけている采女を土におろした。