Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
三
師直が今の威勢をもって婿えらみするというたら、公家ならば関白大臣、武家ならば二ヵ国三ヵ国の大名、わが望むままの婿を得らるるは知れてあるが、さて其のひとり娘をむざと手放すのが惜しゅうてのう。ついそのままに延引していたが、親の子煩悩が仇となって、あたら花盛りをやみやみと過ごさするもまた本意でない。して、お身はどのような男を持ちたいぞ。遠慮なしに言うてお見やれ。」
「言うてもよろしゅうござりまするか。」と、小坂部はあらためて念を押した。
「おお、苦しゅうない。お身は優美の生まれ立ちじゃで、婿は公家かな。」
「いえ、そうではござりませぬ。」
「やはり武家か。では、桃井、山名、細川、まずはそこらかな。」
「違いまする。」
「はて、親をじらすな。悪い奴め。師直は気が短い。早う言え。」
父は眼じりをしわめて笑った。
三
あくる日の午の刻すぎに、荏原権右衛門は高三河守師冬の館をたずねた。師冬は師直の甥であるが幼い頃から叔父の養い子になっていた。ことし二十一歳の若者で、武勇は養父にも劣らない上に、その威勢を嵩にきて何事も思うがままに振舞っている。彼の館もやはり堀川のうちにあって、むかしは然るべき殿上人の住居であったのを無体に横領して、車寄せを駒寄せに作り変えたのであった。